発行 東京ヘレン・ケラー協会
定価 2,600円(税別)
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語りへの思いがめばえたのは、中学2年の秋、学校の文化祭で声優北川智繪さんの語りを聞いたときでした。
言葉をとおして鮮やかなイメージが広がっていく。まるで絵を見ているような夢見る気分でした。
「語りとは、語り手が心の中に絵をかく作業ににている」
のちに、北川さんの書かれた本の中にこのフレーズを見つけた時、ハッとし、やっぱりと思いました。
私は、失明以来長いこと、大好きな絵をかくことを忘れていました。今、スタイルこそちがえ、全く同じことをことばを用いてやっています。自分の心にえがきだしたイメージを、語りを聞いて下さる方の心へと投影して行くのです。
誰の心にも鈴がある。いのちをふきこまれたことばは、その鈴を振るわせるのでしょう。
ホッと安らぎを感じるとき、思わずふきだすとき、涙がこみあげてくるとき、やさしい気持ちになれるとき、そこには、きっとことばの力が働いているのだと思います。
語りを聞いて下さる方々の、胸のうちにある「夢の鈴」を私は振るわせたい。そして、心の出会いの輪を広げていきたいと思っています。 |