2005年は終戦から60年目に当たります。この不透明な時代に、今尚、戦争の文字が日常から消えることはありません。今回の「ダモイ〜収容所(ラーゲリ)から来た遺書〜」は、1989年辺見じゅん著「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基に書かれました。第21回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回講談社ノンフィクション賞を受賞したこの作品は、第二次大戦後、シベリアに抑留された男たちの物語です。敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。 |
|
ソ連軍に捕われ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ山本幡男氏のその遺書は、彼を慕う仲間たちの驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかいくぐったものでした。悪名高き強制収容に屈しなかった男たちの、したたかな知性と人間性を発掘した辺見じゅん珠玉の書です。声高に戦争の罪などを問うわけでもなく、ただ真摯に生きる人間の姿を淡々と描くこの書の中に、これからの生きるヒントがいくつも隠されています。戦後60年の節目に贈る、人間再生の物語。
|